以前、その後という文章を書いた。

心療内科の先生に早期退職を考えていることを告げた際、先生から「で、その後はどうされますか?」と問われ、私には答えの持ち合わせがなかった。

 

定年を意識することが増え、先生の問いはいよいよもって重みを増すが、当の私は「で、おまえは会社を辞めた後、何をして生きていくつもりだ?」と、堂々巡りの自問自答を繰り返すばかりである。

 

 

寿美子さんが56歳になった。

同窓会通信に「仕事を辞めて親の介護に専念します」と書いてあったのは、確か昨年。

 

男子たちの憧れの的だった寿美子さん。

彼女の人生にほんの一瞬関わっただけなのに、40年近く経った今も、あの憂いがかった笑顔が忘れられず、誕生日さえ忘れられないでいることに、そっと溜め息を吐く。

 

 

急に寒くなったせいか、ここ数日尿の出が悪い。

2年ほど前、2015年の12月には前立腺炎に罹かり、泌尿器科の先生に自転車禁止令を出されてひどく落ち込んだことがある。

革サドルの圧迫も良よくな気がして、再びスペシャライズドの幅広穴開サドルに替えてみた。

ミニラレーには似合わないけれど、背に腹は代えられぬ。

 

 

カウントダウン・カレンダーなるものをネットで見付けた。

特定の日、例えば誕生日や卒業式、成人や定年までの日数を知るためのカレンダーである。

 

早速自分自身の定年までの日数を調べてみた。

私が勤めている会社は60歳定年制だが、1年ほど前倒しの退職を目論んでいるから、設定日は2020年9月25日である。

すると、1061日と出た。

わー、早期退職でもまだ1000日以上あるんだ。

ちなみに70歳の古稀までは5078日で、平均寿命の80歳までだと8731日、らしい。

定年までの1061日はものすごく長く感じるが、死ぬまでの日数が8731日と言われると、うーん、何となく短いような気が・・・。

 

未来のどこを基準にして”今”を生きるか。

そんなことをつらつら考えている。

 

 

夕方、ぶらっと散歩に。

 

自転車の荷台に女の子(きっと妹)を乗せて走る少年。

少年は小学5〜6年生、妹は小学2〜3年生。

妹の右腕はギプスで固定されている。

 

4つ離れた弟を、こんな風に自転車の後ろに乗せて走っていた日のことを思い出した。

半世紀近くも前の出来事。

 

鉄路の向こうに沈みゆく夕陽を眺めながら。

 

 

法事で在来線と新幹線を乗り継いで下関に向かっている。

胃腸の具合が悪く、辛い。

午前中は県庁に直行。

あっせん協議、お昼までかかったが、何とか合意に達してホッとして。

 

会社へ急ぎ、途中のコンビニで買ったサンドイッチをかき込んで会議。

終わればもうクタクタ。

外は眩しいほどの光。

事務所になんか居たくない!

 

 

一昨日だったか、出勤途上で、路地から不意に出てきた自転車とぶつかりそうになった。

イラッとして「ああ、もう!」と、相手に聞こえるように舌打ち。

ちゃんと伝わったらしく、ツンツン茶髪のサングラス男が「なんや、おらーっ!」と恫喝してきた。

知るか、バカが。

相手にせず、そのまま走った。

追い掛けてくるならこい。

殴りたいなら殴れ。

そんな気分だったな、あの朝は。

だが、男は追ってはこなかった。

野郎も仕事に向かってたんだろう。

 

 

4時からウソを吐いて外出。

途中で本屋さんに立ち寄って文庫本を買い、ブラブラポタリングしながら夕方帰宅。

 

ネットニュースで遠藤賢司(エンケン)さんが亡くなったことを知った。

慌ててCDラックを漁った。

CDが3枚出てきた。

70歳。

ボブ・ディランに憧れてミュージシャンになったエンケン。

トム・ペティもそうだったが、早過ぎる。

 

『不滅の男』を聴きながら。

 

 

「計算が合わない」

ブツブツ呟きながら息子が部屋に来た。

数学の問題かと思ったら違った。

息子が手にしているのは、銀行の預金通帳のような形をしたお小遣い帳だった。

「1320円合わないんだよ、足りないんだよ」

どうやら財布の中身とお小遣い帳の残高が合わないらしく、財布の中身の方が1320円少ないらしい。

「オレ、自分でもどうかと思うくらいチマチマしてるじゃん。レシートだって全部取ってあるんだぜ。合わないはずが無いんだよ」

そう言って財布とお小遣い帳をチラリと見せてくる。

うわぁ、確かに几帳面に書かれている。

チマチマしていると言われれば、まあそうだろう。

 

「完璧な人間なんていない。自分では100%記録しているつもりでも、きっと書き忘れがある」

そんな風に慰めたが、まるで納得しない。

「このあいだノート買ってきてたじゃないか。クリアファイルも。あれ、書いてるか」

「ああ、ちゃんと書いてる」

「じゃあ、ネットで注文したペンケース代、もうお母さんに渡したんじゃないのか」

「いや、そんなことしてない」

そんなこんなのやり取りが暫く続いた後、息子は不満そうな顔つきのまま2階に戻って行った。

 

翌日。

「お父さん、解決したよ」

計算が合わない理由が判明してモヤモヤが晴れたらしく、スッキリした顔の息子がそう報告してきた。

家計から出してやる散髪代を、息子が自分の財布から立替払いをしていたらしく、それがちょうど1320円だったとのこと。

 

 

「えーと、湿布薬718円、ポップコーン58円、タバコ2つ880円・・・」

会社帰りに買い物したレシートを机上に並べ、日記帳の末尾の金銭出納録に書き付けながら、

『男なんだし、もうちょっと大雑把になってくれていいのになぁ、娘のザーッとした性分を分けてあげたいよまったく』と、口をへの字に曲げている私。

 

 

 

昨夜、日付が変わる頃、1通のメールが届いていたことに気付いた。

スマホは、常時マナーモードに設定しているから、メールや電話が入っても、合図の音は何も鳴らない。

寝る前にスマホの充電状態を確認しようとしていて、赤いマークを見付けた。

 

差出人は直属の部下。

タイトルは無し。

発信日時は昨日(土曜日)の午後8時。

休日の夜8時に、いったい何の用だろう。

いやな胸騒ぎを覚えながらメールを開いた。

 

「何の期待もされていないのでしょうか。」

 

読んだ瞬間、激しい動揺に襲われ、鼓動が乱れた。

45歳の係長が所属部長に宛てて送るにしては、言葉遣いも体裁も整っておらず、きつい言い方をすれば礼を失したメールなのだが、それだけなら、ムッとすることはあっても、こんな風に気持ちがグラグラと揺さぶられることは無い。

 

彼は、数年前に離婚している。

彼の説明をそのまま信じれば(彼の真面目な性格からすればそれは事実だろうと思う)、原因は元妻の浮気だったらしい。

精神に変調をきたした彼は、重度のうつ病を患ってしまった。

育児に耐え得る状態では無かったため、幼い2人の子どもの親権は元妻の側にいった。

 

4年前、私の部署に異動して来た当時も、ときおり深く沈み込むことがあり、「病院に行きます」と言って休むことが何度かあった。

ここ1、2年は笑顔が増え、急に休むようなことも無くなっていたから、もう大丈夫なのだと勝手に思い込んでいた。

 

「何の期待もされていないのでしょうか。」

 

タイトルも主語も無い不穏な1文が醸し出す暗さが、私の気持ちを強く打った。

職場での最近の彼とのやり取りを懸命に思い起こすが、こんな恨みがましい思いを抱かせるような粗雑な扱いをした覚えは一切無いし、むしろ彼への期待や信頼は日増しに強固になっている。任せる仕事も、遣り甲斐のある重たいものを1つ2つと積み重ねている。

けれどもそれは、私がそう思っているだけで、彼がどのように感じているかは分からない。

 

異動してきた際、彼は私に対して、病気や離婚を含め自分自身の個人的な話をし、私も彼に対してうつ病で倒れた経験を語った。

誰だって色んなものを抱えて生きている、大丈夫、気にせず仕事に精進して欲しい。辛いときは休めばいい。

そんなありきたりな助言で結んだようにも思う。

そのような背景があったから、この1文は、単なる仕事上の不平不満ではなく、抑うつ状態が高じての不安定な挙動であり、必死の思いで助けを求めるSOSのサインのようにも受け取れた。

万一のことを考えれば、今すぐにでも駆け付けなければならない状況なのかも知れないが、彼は今は実家で暮らしているから、ご両親が居られる手前、迂闊な行動は却って彼や彼を取り巻くあれこれを徒に掻き回してしまう気もする。

むしろ私は、管理監督者の責任として、辞職を覚悟しておくべきなのかも知れぬ。

 

 

悪い想像ばかりが膨らみ、とても床に就けるような気分ではない。

深夜0時を過ぎており、電話をかけることは憚られる。

迷った末に返信メールを送った。

「夜分遅くに失礼します。今メールを読みました。もうしばらく起きています。何かあれば連絡下さい。」

 

 

今朝、起きてすぐにスマホのメールをチェックした。

彼からの返信が届いていた。

「大変申し訳ございません。酔って送信先を間違えてしまいました。ご迷惑をお掛けしました。」とあった。

ホッとした。

瞬間、”安心しました”とか、”了解”といった短文のメールを送ろうとしたが、思い留まった。

 

誰しも、プライベートの部分では職場とは異なる世界を生きている。

彼には彼の世界があり、そこで「何の期待もされていないのでしょうか。」と書き送りたい出来事があったのだろう。

そう思うしかないのだ。

 

 

CDが1枚届いた。

『彼女は最高』という映画のサントラ盤。

音楽はトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ。

いい感じの曲が揃っていて、映画など知らなくとも、いやむしろ知らない方がいいと思えるほど完成度の高いアルバムだ。

部屋着用のスウェットパンツを買った。

税込1079円。

500円とか799円のバーゲン品で十分だと思ったが、比べるとそれなりに違いがあって、ちょっと高いものを選んだ。

・・・・・・・・・・

昨日の陽射しが幻だったかのように、今日は朝から分厚い雲。

神様に晴れちゃいけないとでも言われたのかい?

そこへもってきて、母からの恨み言タラタラの電話がかかり、気分は一気にどん底へ。

「あんたは、お母さんが死んだら顔を見に来てくれるとかい」

いったい何なんだよ。

先週庭木を切ってくれと頼まれて、その週末に行かなかったというだけで、そこまで言われなきゃいけないのか?

気性の荒い老人や、感情が先走る老婆は、キライだ。


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