近所に住む小学1年生の少年が、青空駐車場の片隅で朝早くから遊んでいる。

小さなサッカーゴール目がけて、小さなサッカーボールを無心に蹴っている。

「お、いいもの持ってるなあ。お父さんに買ってもらったか」

Kさんが笑顔で声を掛けると、少年はちょっと睨むような顔付きでKさんの方を向き直り、きっぱりと言った。

「ちがうよ。サンタさんにもらったんだよ!」

しまった。

そう思ったKさんは、

「そうかそうか、サンタさんのプレゼントか。そりゃよかった」と慌てて付け足し、すごすごと退散した。

 

 

仕事に対するモチベーションを保てなくなったことが体調不良の原因の一つであることは間違いない。

娘と妻で選んだと言う。
まん丸メガネのイラストが描かれたコーヒーカップ。


そうか、今日はイブだったのか。
いつの間にプレゼントする側からされる側になってしまったのか。

雨の予報の日曜日。

晴れていれば、無為に過ごすことに焦りや後ろめたさを感じるが、雨であれば、何もせずどこへも出掛けぬことに言い訳が立つ。

「雨が降ってるから」。

 

だが、降りそうで降らない雨。

土間に下り、扉を開けてはそっと呟く。

「降らないなぁ」。

 

午後。

昼食を終えた頃、屋根を打つ雨音がバラバラと鳴り出した。

「お、降ってきた」。

 

読書に疲れた体を布団に戻し、夕食時まで寝た。

耳元に響いてくる雨垂れの音が、どこまでも心地良かった。

「雨だから仕方ないよなぁ」。

 

 

日記帳のページを捲る手が一瞬止まった。

昨日と一昨日の2ページ分が、空白のまま何も書かれていない。

出張不在の日以外は毎晩欠かさず書いている日記帳である。

それが2日続けて真っ白とは。

 

今日は、息子との約束で買い物に付き合った。

帰りに食べたラーメンが良くなかったのか、久々の長時間ドライブが堪えたのか、帰宅後不意に体調がおかしくなった。

椅子に坐っていることも辛く、着替える余裕もないまま、倒れ込むように布団に横たわった。

お腹の底にぐずぐずと燻るような違和感があり、吐き気がきつかった。

胃痛も相変わらず。

 

 

ブログであれ日記帳であれツイッターであれ何であれ、本心や本音や体験をそのまま書けるものではない。

私を知る誰かがこっそり読んでいるのではないかと気になって。

遠慮したり誇張したり脚色したりカモフラージュして書く「ありのままのフリをした文章」に、命は宿らない。

 

 

先日買ったばかりの胃薬が残り2回分になっていた。

会社帰りにドラッグストアに立ち寄り、同じものを1箱買い足した。

たかが胃薬に、今は縋りつく思いである。

 

 

本屋さんにも立ち寄り、宮沢章夫の『長くなるのでまたにする。』を買った。

笑いたいと思う気持ちがまだ残っていたことに安堵する。

 

 

冬の落日ほど物悲しいものはない。

 

相変わらずサドルが痛い。

お尻からの突き上げがきつく、胃痛と相俟って内蔵全体がどうにかなってしまいそうである。

 

 

整腸剤と胃薬と安定剤と睡眠薬を立て続けに服用する。

体にいいわけない。

有給休暇を取得し、終日家で過ごした。

 

生きている実感から逃れるように、ひたすら眠り続けた。

 

 

背中に腫物が出来た。

また粉瘤か。

患部に指先を触れると、腫物の尖端から束になった毛が馬の尻尾のように生え出ているのが分かった。

何だろう。気持ち悪い。

黒子から生える無駄毛のようなものだろうか。それにしては密集し過ぎている。

毛先や根元をいじり続けていたら、不意に粘り気のあるいやな感触が伝わってきた。

まずい。どうやら潰してしまったらしい。

ぬらつく指先を顔の前に持って来た。

赤や半透明のドロリとした血膿を予想していたら、手のひら全体が墨汁でも塗りたくったかのように真っ黒に染まっていた。

そんなバカな。

慌ててハンカチを当てたが、噴火口のような穴から溢れ出る黒い血は止まることを知らず、ハンカチは一瞬で濡れタオルのように重くなった。

 

そんな夢を見たからだろうか、浅田次郎の『おもかげ』が沁みて沁みて仕方ない。

 

 

胃痛をおして、この寒空の下、ミニラレーで5kmの散歩。

向かった先は、県下随一の総合病院。

 

5年後か10年後か20年後かは知らないが、私は間違いなくこの病院で死ぬ。

6年11ヵ月前の父がそうであったように。

 

 

それにしても寒い。

自販機で缶コーヒーを買う。

掌で包み込むようにして飲んでいたら、仕事帰りと思しき兄ちゃんが車を停めて降りてきた。

「うー、寒いっすねー」

「そうですねえ」と私。

 

 

家族に見られては困りそうな過去記事をぼつりぼつりと削除している。

流行り言葉の「終活」では無いが、人間、いつなんどきどうなるか分からないとは思うから、やれる範囲で身辺整理を始めておこうとの心積もりはある。

ネット上やパソコン内の記録は指先の操作だけでいとも容易く消せるが、紙で残っている日記帳はそうはいかない。

庭先で焚火が出来る時代だったらよかったのに。

そうすれば、弥生からの手紙の束を実家の庭先で燃やしたときと同じように、数百冊ある日記帳を毎日1冊か2冊ずつ、赤々と燃え盛る炎の中にこっそり放り込み、火かき棒で突きながら灰にしてしまうことが出来たのに。

 

 


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