福岡県を中心に北部九州を襲った集中豪雨。

被害は甚大で、日を追うごとに死者・行方不明者の数が増える。

自転車散歩でよく訪れる海岸でも、亡くなられた方の遺体が複数見つかったと知り、しばらく足が向かなかった。

 

夕方、気分を換えたくて、胃痛をおして散歩に出掛けた。

 

 

眩しい。熱い。

 

左に入り江、右に田圃。

 

海沿いの通りを護岸に沿って右に曲がると、正面に西日。

 

遠くを見遣ればいつもと変わらぬ穏やかな泥海が広がる。

 

足元に目を移すと、豪雨の爪痕が大量の流木となって生々しく残っている。

 

 

この海のどこかに、まだ見付けてもらえていない命があるのかも知れぬ。

 

静かに瞑目した。

 

 

午前3時半、胃薬服用。

 

眠れない。

 

 

母方の伯母が入院しているとのことで、母に頼まれ、車で1時間ほど離れた山郷の病院までお見舞いに行った。

胃痛に苦しむ私は、シートベルトで胸や下腹部を締め付けられるのが耐え難く、ハンドルを握れる状態ではない。

運転は妻に任せ、後部座席で静かに揺られていた。

行き戻りぐらいなら、胃薬1袋でもつだろう。

温泉郷にある病院の側には透明な川が流れている。

95歳の伯母の身も大事だが、今は55歳の我が身を案じたい。

石にぶつかって白く砕ける流れを見詰めながら、浅い呼吸を繰り返した。

胃痛に苦しめられた1週間が終わった。

同じ薬を飲み続けたら効き目が弱くなるから、週の後半は胃薬を極力我慢したのだが、その判断は正しかったのか。

 

3連休。

とにかくゆっくり休もう。

 

 

「その格好ってことは、今日はさすがに自転車じゃないですね」

「はい、仕事に行く途中で立ち寄りました」

「この天気ですからね」

「あの、赤ちゃんは?」
「はい、もう9カ月で掴まり立ちをするようになりましたよ」
「早いですね」

処方薬を貰い、会計を済ませ、あとはもうやることが無いのに、カウンターを挟んで向き合ったまま話し続ける薬剤師さんと私。

 

他愛ないやり取りが止まった瞬間、「えーっと、あ、全部終わりましたね」と私。
「○○さんとはこうやってずっと話してたいんですけどね」と笑顔の薬剤師さん。

 

 

出張に向かうJRで途中下車。
クリニックの待合室。
いつもの処方薬を出してもらうのが主目的。
胃痛のことは相談してみよう。

先週半ばから胃痛がひどい。

締め付けるような痛みで未明に目覚めることも多く、都度市販の胃薬で凌いでいる。

 

(7月10日追記)

通勤途中で自転車が漕げなくなり、降りてその場で蹲ることが2度3度続いている。

逆流性食道炎か。

 

庭に降り立ち、トマトとカボチャを眺める。

 

トマトの実は5個。無事に育つかな?

 

実は生らないまま十字架状に伸び放題のカボチャ。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

息子のTREKにボトルホルダーを装着した。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

クレマチスが咲く庭を眺めながら思う。

 

晴耕雨読、悠々自適。

そんな暮らしに憧れる。

もうそろそろいいんじゃないか、と。

 

自転車散歩で通り掛かった民家の庭先。

肌着1枚で花の手入れをしている70絡みの老人。

 

・・・無理だ。

晴耕雨読も、悠々自適も、今はまだ無理。

抑えきれぬものが、体の内側から外に向かって扉を叩く。

 

 

午後6時。

カウンター席の奥に並んで座る男と女。

他に客が居ないのは時間が早いからだ。

仕事を終えた人々が集まり出すのはもう少し後。

 

壁際の椅子に腰をおろした男は上体を左に捩じり、女の横顔をしきりに見詰めている。
細い鼻梁から薄い唇へと連なる緩やかな稜線を、上から下へ、下から上へと飽かずなぞる。

女の落ち着いた佇まいと、どちらかと言えば古風な面差しが、張り詰めた男の緊張を徐々に和らげる。

 

他愛ない会話に笑ってくれる女の瞳の球面にカウンター越しの棚のボトルが映り込んでいる。

美しい。

まばたきの音さえ聞き逃すまいと思う。

 

男の視線が流れ、女の右上腕部に留まる。

肩まで剥き出しの服から伸び出た女の腕は、55年間生きてきた男が初めて目にする細さだ。

男の視線を捕えているのは直径2ミリほどの黒子。

白い二の腕の肩口にポツンと浮き上がるその黒子はいつからそこにあるのか。

触れてみたい。

けれどもそれは一線を超えることであり、やってはいけないことだ。

 

男の視線は女の透けるような腕を滑り下り、やがて手に至る。

男のあらゆる感情がそこに定まり、固まる。

これが大人の女の手か。

自らの意志で成長を拒絶した少女のように小さく華奢で、つるりとした指の11本も信じられないほどに細い。

一切の装飾を排除した爪が、何より強く女の今の生きざまを主張していると思う。

左手の薬指に視線を走らせた一瞬、男の緊張がまた1つ解ける。

 

男は、女のことを15年間想い続けてきた。

 

そんな夢を見た気がした。

 

 

止まない雨はないと言うが、止みそうにない激しい雨が昨夜から降り続いている。

不祥事の記者会見で焚かれるカメラのフラッシュのように、稲光と雷も存分に暴れている。

 

今朝、我が家の前の道路は満潮と重なって見る見る冠水し、あっと言う間に川と化した。

この状況の中、車で出社するのは危ない。

マフラーに水が浸入すればエンストしてしまうし、交通規制がかかって通れない可能性もある。

確実なのはやはり自転車だ。

合羽にキャップに長靴履きの完全装備で出発。

水深20センチの道路川。

頭上からは「おまえ気は確かか?」と嘲笑うように打ちつけてくる豪雨。

道路に出た途端、小径車のタイヤは半分が水に浸かってしまい、ペダルが下にきたときは長靴の半ばまで完全に水の中に沈む。

懸命に足を回し、モーゼが海を割って行くように濁流を掻き分け掻き分け前に進むが、漕げない!

 

戻ろうか。

本物の川と道路の境目が見えない。

正直ちょっと怖いぞ。

だが、今日は朝一から重要会議。

遅刻は許されないし、まして休むなんてもってのほか。

だったら進むしかない。

 

時折後ろから追い抜いて行く車。

直後に襲ってくる大きな横波。

薙ぎ倒されそうになって、おっとっと。

 

ハラハラドキドキの30分間を何とか乗り切り、会社に辿り着いた頃には、雨もだいぶ落ち着いていた。

 

明日も強い雨の予報。

頼むよもう・・・。

 

 

 


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