午前10時、社長室にて。

ひととおり業務報告を終えたとき、突然の内示。

「あ、4月1日付で管理本部の副本部長を兼務してもらうことにしたから」と。

え?

「いや、何かやりにくそうだし。他の部長たちも了解済みだから」。

 

 

今私は経営企画部長職にある。

現管理本部長のIと私の間には積年の因縁があり、前管理本部長兼経営企画部長が退任する際、兼務ポストをIと私のそれぞれに分けることでバランスを計り、決着した経緯がある。

まったく別のポジションに就くことで、これまでどうにか均衡を保ってきたが、今回の内示を受ければ、こと管理本部の業務に関する限り、2人の間に明確な上下関係が生まれることになる。

日頃のIのやり方に不平不満を持つ管理本部の人々は、私が間に入ることで救われる面もあるだろう。

しかし、私自身は、まったく得るものがない。

 

誰がどんな動きをしたのか。

どこでどんな力学が働いたのか。

 

 

受容でもなく拒絶でもなく、ただ「はい」と応じるのが精一杯だった私。

微妙な心の揺らぎを、社長がどう見たかは、知らない。

 

 

 

 

怖かった・・・。

 

 

海まで出掛けた。

 

昨夜から降り積もった雪も、午後には陽射しに解けて流れた。

海風に震えながら煙草を吸いたい。

急に思い立ち、ミニラレーを駆った。

 

薄っすらと根雪の残る道を海に向かって走った。

身を切るような横風が吹いていたが、懸命にペダルを踏んでいるうちに身体が火照り、コートの下が汗ばんできた。

 

 

30分ほどで海に着いた。

耳の中を小雪混じりの潮風がごおごおと吹き抜けていく。

煙草を吸い忘れたのは、ズボンとパンツを下ろし、この泥海いっぱいに私の精子をぶちまけたいと思ったからだろう。

 

 

相変わらずサドルは痛かった・・・。

 

 

昨夜日付が変わる頃。

リビングでダラダラ過ごしていた息子が不意に1オクターブほど高い声を発した。

「お父さん、ほら見てよ、雪積もってるよ、テンション上がっちゃうよ」

そのまま玄関を開け、外に出て行った。

 

釣られて私も外へ。

雪明りで仄白く浮かぶ道、生垣、お向かいさんの屋根。

 

雪は音も無く降り続けた。

 

 

昨日、娘から貰ったウサギ型のクッキーは、未完成状態であることが判明した。

夜中にこっそりダイニングのテーブルを見ると・・・。

なるほど、こうなる予定だったのか。

(ピカチュウということはあとで知った)

 

今日はカップケーキも拵えていた。

クッキーと同じく失敗作の欠片をほんの一切れ貰った。

まあ、よかろう。

 

 

100均でライターと乾電池と携帯灰皿を買った。

3連休中にやろうと思っていたことを1つ片付けた。

教訓。

タバコは、吸わないにこしたことはない。

 

・・・・・・・・・・・・

 

防寒コートの腰回りを絞る細い紐を引き抜いた。

ほとんど衝動的に。

締りのなくなったシルエットを見て、呆然とした。

すぐに元に戻そうとした。が・・・・・戻らない。

ハトメの穴が小さいうえに紐の先っぽがバラけてしまい、どうにもならない。

あれこれ試行錯誤し、最後は針金とセロテープを使ってようやく戻し終えた。

ホッ。

教訓。

防寒コートやパーカーの紐は、出来れば抜かない方が良い。

 

・・・・・・・・・・・・

 

バレンタインを目前に控えて、娘がクッキーを焼いた。

失敗作を1つ貰った。

ウサギを象ったプレーン。

教訓。

ウサギのクッキーは、写真を撮る前に耳を齧ってはいけない。

 

・・・・・・・・・・・

 

ミニラレーのサドルを、またギザのレザーに換えた。

毎晩部屋でオイルを塗ったり踏み踏みしながら柔らかくしてきた。

そろそろいいんじゃないか?と思って。

 

うん、やっぱりこっちの方が断然いい(見栄えは)。

 

鼠径部の痛みを庇いながらさっそく13kmほどポタリング。

8kmあたりまではよかったのだが、そのあとはお尻が・・・。

教訓。

レザーサドルはBROOKSに限る。

 

仕事がらみの神様ごと。

億劫だったが、行かないとあとが面倒。

しぶしぶ出掛けた。

 

寒くて寒くて、お火焚きの側から離れられずにいたら、千鳥足のオジサンと軽く接触。

「おっとっと、ごめんなすって。笑ぁって〜、許して〜♪」と、その場で歌い踊り始めたのにはただ苦笑いするしかなかった。

 

福引で随分いろんなものを貰った。

カップ麺、お米、キッチンホイル、洗剤、鍋焼きうどん・・・。

神社に行ったのだが、これでは近所のスーパーに買い物に行ったのと変わらない。

ま、いっか。

 

 

 

目覚めれば遅い朝。

枕に埋めた鼓膜を震わせるのは、窓越しに伝わってくる柔らかな雨垂れの音。

目覚まし時計に支配されぬ休日の朝は、勤め人なら誰だって至福のひととき。

おまけに、雨。

出勤日なら恨めしいだけの雨が、休日だとこんなにも穏やかな気分にさせてくれるのはなぜだろう。

晴れた休日であれば、家の中でダラダラ過ごすことに焦りや罪悪感を覚えて落ち着きを失うが、雨なら仕方ないと思えるからか。

だって、自転車にも乗れないのだし、と。

そんな他愛ない言い訳を身の内で独りごちても一向に疾しさに囚われないのは、体調不良を言い訳にせずに済む気安さのお蔭だろう。

 

新聞をゆっくりと捲りながら、遅い朝食を摂る。

庭を見遣る。

雨脚が弱まっている。

 

そう言えば、先週末に母を訪ねた際、灯油のポリタンクが3つ空になっていた。

残り1缶。

この週末に買い足しておかなければならないだろう。

なに、今日でなければならない訳じゃない。

だが、雨もだいぶ細ってきたことだし、どうせやらなければならないのなら、今日のうちに済ませておいた方が、明日と明後日の休みを気儘に過ごせる。

着替える理由が出来たことに背中を押され、ジーンズとパーカーに身を包み、小雨降る中、スズキ・ハスラーを走らせた。

 

ひと仕事こなし、軽い充実感を覚えながら帰宅。

暫くぼんやりしていると小腹が空いてきた。

ああ、もうお昼なのだ。

カップ麺を作り、胃に送り込む。

やがてお約束のように睡魔がやって来る。

心地良い。

ジーンズとパーカーを室内着に着替え、歯を磨き、2階の布団に戻る。

雨がまた少し強くなった。

雨樋からベランダに伝い落ちる雨垂れの音が優しく鼓膜を撫で、朝起きたときの気怠い感覚が戻って来る。

 

今、私は、何ものにも拘束されていない。

すべての煩わしさから解き放たれている。

 

まどろみの沼に自ら沈み込みながら思う。

100均にも行かなかったし、自転車の掃除もしなかった。

けれどもそれは仕方ないこと。

だって、雨が降っているから。

 

 

 

明日から3連休。
ふっと肩の力が抜け、弛緩した溜め息を吐く。

貴重な休み。
机上のメモ帳に「やること」を書き出す。

・靴磨き
・100均でライターを買う
・ミニラレー掃除

あとが続かない・・・。
3日も休みがあるのに、なんてこったい。

雨の予報のせいにしておく。

この文鳥たちが我が家にやって来たのは、父が亡くなって僅か2か月後の2011年3月20日だった。

当時まだ10歳だった娘が、ペットショップで、まだ毛も生え揃わぬ小さな雛鳥を見て欲しがり、飼うことを決めたのだが、父を失った心の空隙を埋める気持ちもあったように思う。

誕生日は、どちらかが2月8日でもう1羽が2月22日。

そう日記帳に書いている。

ということは、いずれかが今日無事に7歳の誕生日を迎えたのだ。


この2羽は、夜、台所の洗い桶で水浴びをするのが日課だ。

そして気が向けば、濡れた体のまま揃って私の部屋に飛来し、半纏を羽織った私の肩に止まり、胴や羽をブルブル震わせて水気を飛ばしたり、嘴を細かく動かして羽繕いをする。


文鳥の寿命は7〜8年と言われる。

そろそろなのかなぁ、元気一杯に見えるんだけどなぁ、と、ふと寂しい気持ちになることもあるが、10年生きるものもあると言うから、あと2年、いや3年はこうして私の肩や掌の上で一緒に遊んで欲しいと願ってしまう。

あと2〜3年。

そう、少なくとも私が定年退職する日までは。



雛鳥だった頃の写真を1枚(2011年4月2日撮影)。

微温湯でふやかして潰した餌を、専用のストローを使ってせっせと与えていた。

嘴や舌や喉を懸命に動かし、驚くほどたくさんの餌を口の中に頬張る幼い姿が鮮明に蘇る。

あれから7年。




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