村上龍はあまり読まない。

出会い方が悪かったのだろう。

 

それでも、たまに手に取って読んでいる。

昨日読み終えた『イン ザ・ミソスープ』は、ちょっとどうかと思うほど衝撃的だった。

 

20年前の作品だが、まるで古さを感じない。

むしろ、時代を更に先取りしているように思えるほどだ。

 

フランク、というアメリカ人が出て来る。

ケンジ、という日本人が出て来る。

300ページの物語は、この2人が過ごす3日間を緻密に描き尽くすことで成り立っている。

 

ケンジに特筆すべき個性は与えられていない。

一方で、フランクの造形が凄まじい。

本当の怖さは、現実よりほんのちょっとだけズレたもの。

そのことを痛感する。

こんな小説が新聞に連載されていたというのだから驚く。

 

文庫本の表紙に描かれているのは、おそらくフランクを模したモデルの写真だろう。

左右で大きさの異なる眼球。

口元は笑っているように見えるが、輝かない左の眼球が感情を失った者の匂いを醸し出す。

 

1997年 読売文学書受賞作。

 

 

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