時間潰しに疲れ、待合室へ。

 

壁を背に並んでいる椅子は、全部で10脚。

右端に60代と思しき女性が坐っている。

その女性から2脚開けて腰を降ろした。

私の左側の椅子は、1つ飛ばしに老若男女で埋まっていた。

 

若い女性が入ってきた。

彼女は、迷う様子もなく私の右隣りの椅子に坐った。

白いワンピースがふわりと風を作り、花模様の袖先が、私の右腕を一瞬撫でた。

 

 

駅のホームで電車を待っていた。

割れた女性の機械音声が先ほどから何度も「停電の影響で11分遅れています」とアナウンスを続けている。

 

どこからともなく視界に入ってきた1匹の羽虫が、前に並ぶ女性の足元に落下するように舞い降りた。

いかにも「もうダメ。疲れた」と言わんばかりに。

女性が小さく喉を鳴らした。

目を凝らすと、その虫は、黄色と黒の縞模様ですぐに脚長蜂と分かった。

蜂は、暑さのせいか、本当に疲れ果てており、ホームの上を大儀そうにヨロリヨロリと這い回るばかりで、再び飛び立つエネルギーは持ち合わせていないようだった。

 

「ハチのムサシは死んだのさ・・・」

かつてそんな歌が流行っていたなあと思いながら、頭の中で懐かしいメロディーを口ずさむ。

 

すぐ側に待合室があり、そこからひっきりなしに人が出入りし、そのたびに靴やキャリーバッグのタイヤが踏み潰しそうになるが、どの靴もタイヤもギリギリのところで蜂を避けて通り過ぎて行く。

見ているこちらがハラハラしてくる。

蜂の存在に気付いているのは前列の女性と私だけ。

女性はじっと蜂を見詰めながら、刺されることを恐れて時折立ち位置を変えつつ、一方で、踏み潰されないだろうかとドキドキしながら息を殺しているのが分かる。

 

 

轟音とともに遅れていた電車が入ってきた。

圧縮された空気が一陣の熱風となってホームを駆け抜けた。

脚長蜂の姿はもうそこにはなかった。

 

 

ボーナスが出て、配当金も入って、けれども今すぐ必要なものはなく、取り立てて”欲しい!”と思うものもなく、だったら老後の蓄えに回しておくか。

ということになるが、何だかそれもひどくつまらなくて、バッグか万年筆を買おうと思い、あれこれ調べ、やっと1つ買った。

PILOT万年筆のkakuno。

キャップとボディーカラーの組み合わせが幾通りかあって迷ったが、赤いキャップにした。

 

手持ちのコンバータを装着し、インクは色彩雫の朝顔を補充した。

おもしろい書き味だ。

 

ペン先のニコちゃんマークがまた愛らしい。

 

 

PelikanのスーベレーンM800、MONTBLANCのマイスターシュテュック 149 、セーラーのキングプロフィットエボナイトなどと迷いはしたが、主な用途は会社での普段使いだし、心を豊かにするのに値段はあまり関係ない。

(列記した万年筆1本でkakunoが100本買える)

 

こういう遊び心満載の筆記具が、胃痛まみれの仕事の中で一服の清涼剤となってくれる気がする。

 

ね、社長!

 

 

喉に刺さった鰻の骨に相変わらず悩まされている娘。

昨日に比べればだいぶ症状は和らいだようだが、違和感は残っており、学校も欠席した。

観念して耳鼻咽喉科に診せたが、骨は見付からなかったそうだ。

 

眉間に皺を寄せ、リビングのテーブルの下に丸まって横たわる娘の様子は、まさに岩場の陰に身を潜める鰻。

精をつけるつもりで食べた鰻で、精も根も尽き果てたようである。

 

 

胃薬服用。

もう眠れそうにない。

土用丑の日。

うな丼を食べていた娘が叫ぶ。

「骨が刺さった!」

 

ごはんを丸飲みしたり、水を飲んだり、果ては鏡と懐中電灯で喉の奥を懸命に覗きこんだり。

今もリビングに寝転んだまま、ときおり呻いたり喚いたりしながら、哀れな姿で放心状態。

何もやる気がしないのだろう、風呂にも入れずにいる。

気持ちはよく分かる。

 

幼かった頃、魚の骨が喉に刺さって苦しんだ思い出は一度ならずある。

ごはんをたくさん口に含み、噛まずにぐるんと飲み込むのが対処法の定番だった。

電灯の下で口を開けさせられ、母から「ほら、じっとしときんしゃい!」と叱られたりもしていた。

「おろたえて食ぶっけんさい!」とか「ちゃんと噛まんけんさい!」とかも。

苦しいうえに叱られるのだから、子ども心にも舌打ちしたい心持ちだったように思う。

病院の世話になった記憶は無いから、いろいろあっても自力でどうにかなっていたのだろう。

 

 

鰻の骨は柔らかいから時間が解決してくれるような気はする。

いずれにせよ、高校2年生の娘の口を開けさせ、喉を覗きこむ勇気は持ち合わせていない。

 

 

この歳になっても、ついついたくらみごとを考えてしまう。

 

神社の裏道でそんなことを思いながら、一服。

 

でもやっぱり、全部お見通し、なのだろう。

 

先ほど胃薬服用。

 

先週は我慢出来ないほどの痛みがなく、薬の世話にならずに済んだ。

月曜日が祝日だったのも大きかった。

 

今週は厳しくなりそうだ。

起きたら右手首がひどく痛い。

寝相から想像するに、お腹で踏み潰したものと思われる。

これではサイクリングは厳しい。

諦めてハスラーでショッピングタウンまで。

 

住宅街を抜けたところに忽然と現れるこのアウトレットタウンは、いつ来ても頭の中がアロハな人だらけの気がする。

私もその1人。

 

いつものようにバッグ屋さんをはしご。

滞在時間40分は結構長い。

期間限定でTUMIがあったのと、CRICKETで気になるバッグがあって、つい長居してしまった。

買わなかったけど。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

帰宅した頃には右手首の痛みがだいぶひいていた。

これなら走れる。

ということで、お昼を食べてQUICK4で出発。

何となく父の郷里のある山の方へ。

 

おっと、栗!

踏んづけたらパンクしてしまう。

 

しばらく走ったところで自販機休憩。

見上げれば柿!

 

路上では早くもこの夏を生き終えたクマゼミ。

 

人が夏を実感し始める頃、季節は既に秋へと傾斜している。

 

そんな午後4時。

 

 

 

夜、こっそり腹筋運動をやっている。

リビングにびよ〜んと寝転がった状態から腕を振り子にして上体を起こす。

これを10回繰り返す。

今のところ10回が限度である。

 

加速度的に膨張する腹回りの醜さに耐えかねて衝動的に始めた。

今日実行すれば無事に三日坊主クリアである。

 

 


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